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距離が誘導する位相

  • 距離空間
  • 開球
  • 位相空間
  • 開集合
  • 位相の基底

距離空間 (X,d)(X,d) において、xXx\in Xr>0r>0 に対して、

B(x,r)={yXd(x,y)<r}B(x,r) = \{y\in X\mid d(x,y)<r\}

を中心 xx、半径 rr開球という。

部分集合 UXU\subset X が、任意の xUx\in U に対してある r>0r>0 が存在し、

B(x,r)UB(x,r)\subset U

を満たすとき、UU を開集合と定める。

このような開集合全体を Od\mathcal{O}_d とすると、

Od\mathcal{O}_d

XX 上の位相をなす。

これを距離 dd誘導する位相という。

ある位相空間 (X,O)(X,\mathcal{O}) に対して、

O=Od\mathcal{O}=\mathcal{O}_d

となる距離 dd が存在するとき、XX距離化可能であるという。

異なる距離が同じ位相を誘導する場合もある。したがって位相は距離そのものより粗い構造である。

距離空間は20世紀初頭にフレシェによって抽象化された。

その後、ハウスドルフらによる位相空間の公理化によって、距離空間で用いられていた開集合の性質だけを抽出して一般化できることが明らかになった。

位相空間がどのような条件のもとで距離から得られるかという距離化問題も重要な研究対象となり、ウリゾーンの距離化定理などが得られた。

R\mathbb{R} 上の通常の距離

d(x,y)=xyd(x,y)=|x-y|

を考える。

開球は、

B(x,r)=(xr,x+r)B(x,r)=(x-r,x+r)

となる。

したがって、この距離が誘導する位相は R\mathbb{R} の通常の位相である。

すべての位相が距離によって誘導されるわけではない。

例えば2点以上を持つ集合に密着位相

{,X}\{\varnothing,X\}

を入れた空間はハウスドルフではない。

一方、すべての距離空間はハウスドルフであるため、この位相を誘導する距離は存在しない。

距離が誘導する位相を考えることで、解析学で使われる距離や収束の概念を位相的な枠組みに移すことができる。

また、異なる距離が同じ位相を誘導することを利用して、距離に依存しない性質と距離そのものに依存する性質を区別できる。

集合 XX 上に離散距離

d(x,y)={0,x=y,1,xyd(x,y) = \begin{cases} 0, & x=y,\\ 1, & x\neq y \end{cases}

を定める。この距離が誘導する位相を求めよ。

任意の xXx\in X に対して半径 1/21/2 の開球を考えると、

B(x,12)={x}B\left(x,\frac12\right)=\{x\}

である。

したがって、すべての一点集合が開集合である。

任意の部分集合 AXA\subset X は一点集合の和集合として、

A=xA{x}A=\bigcup_{x\in A}\{x\}

と書けるため開集合である。

よって誘導される位相は、

P(X)\mathcal{P}(X)

すなわち離散位相である。