位相論と測度論には、概念的に次のような対応がある。
- 開集合系 → σ-加法族
- 位相空間 → 可測空間
- 開集合 → 可測集合
また、
ジョルダン測度↓リーマン積分
という関係がある。
ジョルダン内測度とジョルダン外測度が一致することと、
リーマン可積分性は対応する。
測度の一般化の流れは、
ジョルダン測度(リーマン積分)↓ 一般化ルベーグ外測度↓ 可測集合へ制限ルベーグ測度↓ルベーグ積分
と見ることができる。
一般の測度論では、
有限加法的測度↓ 一般化外測度↓ 可測集合へ制限測度
となる。
また、
集合⟶可測集合,連続関数⟶可測関数
という一般化が行われる。
ルベーグ積分を導入するメリットは、単にディリクレ関数のような特異な関数を積分できることにあるのではない。
積分と極限の順序を入れ替えるルベーグの優収束定理や、二重積分の順序を入れ替えるフビニの定理が、リーマン積分上で成立する類似の定理よりも、より簡単な条件で成り立つ点にある。
集合 X の部分集合族 F⊆2X が、
∅∈F,
A1,A2∈F ⟹ ならばA1∪A2∈F,
A∈F ⟹ ならばAc∈F
を満たすとき、F を有限加法族と呼ぶ。
- X={1,2,3} に対する F=2X
- X=Z に対する
F={A⊆Z∣A が有限集合、または Ac が有限集合}
台集合 X とその部分集合族 F⊆2X に対して、
μ:F→[0,∞]
が
μ(∅)=0
および、互いに素な有限個の集合 A1,…,An∈F に対して、
μ(i=1⋃nAi)=i=1∑nμ(Ai)
を満たすとき、μ を有限加法的測度と呼ぶ。
集合 X に対して、写像
μ∗:2X→[0,∞]
が以下を満たすとき、μ∗ を外測度と呼ぶ。
- 非負性
μ∗(∅)=0
- 単調性
A⊆B ⟹ ならばμ∗(A)≤μ∗(B)
- 可算劣加法性
μ∗(i=1⋃∞Ai)≤i=1∑∞μ∗(Ai)
直方体
I=[a1,b1]×⋯×[an,bn]⊆Rn
に対して、
∣I∣=i=1∏n(bi−ai)
とする。
A⊆Rn に対して、
m∗(A)=inf{i=1∑∞∣Ii∣A⊆i=1⋃∞Ii}
を A のルベーグ外測度と呼ぶ。
ルベーグ外測度 m∗ は外測度である。
すなわち、
m∗(∅)=0,
A⊆B ⟹ ならばm∗(A)≤m∗(B),
m∗(i=1⋃∞Ai)≤i=1∑∞m∗(Ai)
が成り立つ。
外測度 μ∗ に対して、集合 A⊆X が
μ∗(E)=μ∗(E∩A)+μ∗(E∖A)
を任意の E⊆X に対して満たすとき、A を
カラテオドリ可測であるという。
集合 A⊆Rn に対して、
- A はルベーグ可測である。
- A はカラテオドリ可測である。
は同値である。
ルベーグ外測度 m∗ をルベーグ可測集合族に制限したものを
ルベーグ測度と呼ぶ。
ルベーグ測度は測度である。
X を空でない集合とする。
部分集合族
F⊆2X
が、
X∈F,
A∈F ⟹ ならばAc∈F,
A1,A2,…∈F ⟹ ならばi=1⋃∞Ai∈F
を満たすとき、F を X 上の σ-加法族と呼ぶ。
組
(X,F)
を可測空間と呼び、A∈F を可測集合と呼ぶ。
(X,F) を可測空間とする。
写像
μ:F→[0,∞]
が、
μ(∅)=0
および、互いに素な可測集合列 {Ai} に対して、
μ(i=1⋃∞Ai)=i=1∑∞μ(Ai)
を満たすとき、μ を**測度(measure)**と呼ぶ。
この性質を可算加法性という。
また、
(X,F,μ)
を**測度空間(measure space)**と呼ぶ。
- ボレル集合
- ルベーグ可測集合
集合 E の指示関数を
χE(x)={10(x∈E),(x∈/E)
と定義する。
φ(x)=i=1∑naiχEi(x)
の形の関数を単関数という。
非負単関数
φ=i=1∑naiχEi
に対して、
∫Xφdμ:=i=1∑naiμ(Ei)
と定義する。
(X,F,μ) を測度空間、{fn} をその上の可測関数列とする。
以下を仮定する。
- fn→f
- ある可積分関数 F が存在して、
∣fn∣≤F(n≥1)
が成り立つ。
このとき fn,f は可積分で、
n→∞lim∫X∣fn−f∣dμ=0
が成り立つ。
特に、
n→∞lim∫Xfndμ=∫Xfdμ
である。
この F を**優関数(dominating function)**と呼ぶ。
証明
∣fn∣≤F および fn→f より、
∣f∣≤F.また、
∣fn−f∣≤∣fn∣+∣f∣≤2F.したがって、
2F−∣fn−f∣≥0.ファトゥーの補題より、
∫Xn→∞liminf(2F−∣fn−f∣)dμ≤n→∞liminf∫X(2F−∣fn−f∣)dμ.fn→f より左辺は
∫X2Fdμである。
したがって、
∫X2Fdμ≤∫X2Fdμ−n→∞limsup∫X∣fn−f∣dμ.よって、
n→∞limsup∫X∣fn−f∣dμ≤0.一方、
∫X∣fn−f∣dμ≥0なので、
n→∞lim∫X∣fn−f∣dμ=0.さらに、
∫Xfndμ−∫Xfdμ≤∫X∣fn−f∣dμ→0.□
(X,F,μ) を
μ(X)<∞
を満たす測度空間とする。
可測関数列 {fn} が、
- fn→f
- ある定数 M が存在して、
∣fn∣≤M(n≥1)
を満たすとする。
このとき、
n→∞lim∫X∣fn−f∣dμ=0
が成り立つ。
特に、
n→∞lim∫Xfndμ=∫Xfdμ.
適切な条件のもとで、
∫ab(∫cdf(x,y)dy)dx=∫ab∫cdf(x,y)dydx
=∫cd(∫abf(x,y)dx)dy.
関数
f:Rm×Rn→R
が Rm×Rn 上可積分であるとする。
このとき、Rm 上ほとんど至るところで
f(x,⋅) は Rn 上可積分であり、
x↦∫Rnf(x,y)dy
は Rm 上可積分である。
さらに、
∫Rm×Rnf(x,y)d(x,y)=∫Rm(∫Rnf(x,y)dy)dx.
同様に、
∫Rm×Rnf(x,y)d(x,y)=∫Rn(∫Rmf(x,y)dx)dy.
ただし、
R=R∪{−∞,+∞}.
関数
f:Rm×Rn→R
が可測かつ非負値であるとする。
このとき、
∫Rm×Rnf(x,y)d(x,y)=∫Rm(∫Rnf(x,y)dy)dx
=∫Rn(∫Rmf(x,y)dx)dy.
この等式は値が ∞ となる場合にも成立する。
可測関数
f:Rm×Rn→R
に対して、
∫Rm×Rn∣f(x,y)∣d(x,y)
=∫Rm(∫Rn∣f(x,y)∣dy)dx
=∫Rn(∫Rm∣f(x,y)∣dx)dy.
さらに、この値が有限、すなわち f が可積分であるなら、
∫Rm×Rnf(x,y)d(x,y)
=∫Rm(∫Rnf(x,y)dy)dx
=∫Rn(∫Rmf(x,y)dx)dy
が有限値で成立する。
X=N に数え上げ測度を、
Y=(0,∞) にルベーグ測度を入れる。
可測関数
f:N×(0,∞)→R
に対して、
n=1∑∞∫0∞∣f(n,x)∣dx=∫0∞(n=1∑∞∣f(n,x)∣)dx.
さらに、この値が有限なら、
n=1∑∞∫0∞f(n,x)dx=∫0∞(n=1∑∞f(n,x))dx.
級数は数え上げ測度に関する積分とみなせるため、
級数と積分の交換はフビニ・トネリの定理の応用として理解できる。