関数 f が孤立特異点 a のまわりで
f(z)=n=−∞∑∞an(z−a)n
とローラン展開されるとする。
このとき、(z−a)−1 の係数 a−1 を f の a における留数といい、
Res(f,a)=a−1
と表す。
a が1位の極である場合には、
Res(f,a)=z→alim(z−a)f(z)
によって求められる。
より一般に a が m 位の極ならば、
Res(f,a)=(m−1)!1z→alimdzm−1dm−1[(z−a)mf(z)]
である。
また、
f(z)=h(z)g(z)
において g,h が a の近傍で正則で、
h(a)=0,h′(a)=0
ならば、
Res(f,a)=h′(a)g(a)
となる。
留数の概念は19世紀にコーシーによって発展させられた複素積分論の中で形成された。
閉曲線積分が関数の特異点の局所的情報によって決定されるという事実は、複素解析の重要な特徴である。
ローラン級数の理論が整備されると、留数は特異点周辺の (z−a)−1 の係数として明確に位置づけられた。
f(z)=z(z−1)1
の z=0 における留数を求める。
z=0 は1位の極であるから、
Res(f,0)=z→0limzz(z−1)1=−1
である。
特異点に現れる最も高い負次数の係数が留数になるわけではない。
例えば、
f(z)=z31+z22+z5
では、z=0 は3位の極であるが、留数は
Res(f,0)=5
である。
留数は閉曲線上の複素積分を計算するために用いられる。
また、実積分の計算、無限級数の評価、特殊関数、物理学におけるグリーン関数や逆変換などにも応用される。
f(z)=z2ez
の z=0 における留数を求めよ。
ez を展開すると、
ez=1+z+2!z2+⋯
であるから、
z2ez=z21+z1+2!1+⋯
となる。
(z−0)−1 の係数は 1 であるから、
Res(f,0)=1
である。