- 複素数列と複素級数
- べき級数
- 正則関数
- テイラー級数
- 複素積分
点 a を中心とするローラン級数とは、
n=−∞∑∞an(z−a)n
の形の級数である。
これは、
n=0∑∞an(z−a)n+n=1∑∞(z−a)na−n
と分けられる。
負の次数からなる部分
n=1∑∞(z−a)na−n
を主要部という。
関数 f が点 a では正則とは限らないが、ある r>0 に対して
0<∣z−a∣<r
で正則であるとき、a を f の孤立特異点という。
孤立特異点はローラン展開の主要部によって分類できる。
- 主要部が存在しない:除去可能特異点
- 主要部が有限個の項からなる:極
- 主要部が無限個の項からなる:真性特異点
例えば、
z1
は z=0 に1位の極を持つ。
一方、
e1/z=1+z1+2!z21+3!z31+⋯
であるから、z=0 は真性特異点である。
ローラン級数は19世紀の数学者ピエール・アルフォンス・ローランに由来する。
テイラー級数が非負整数べきだけを用いるのに対し、ローラン級数では負整数べきも許すことで、正則でない点の近傍における複素関数の挙動を記述できるようになった。
この理論は特異点の分類や留数の計算に不可欠であり、複素解析の中心的な道具の一つとなっている。
f(z)=z(1−z)1
を 0<∣z∣<1 で考える。
等比級数
1−z1=n=0∑∞zn
を用いると、
f(z)=z1n=0∑∞zn=z1+1+z+z2+⋯
となる。
ローラン級数が常に負の次数を含むわけではない。
例えば ez は z=0 の近傍で正則であり、
ez=1+z+2!z2+⋯
と展開される。この場合、ローラン級数は通常のテイラー級数と一致する。
ローラン級数を用いることで、孤立特異点の種類を判定できる。また (z−a)−1 の係数を読み取ることで留数を求められる。
そのため、ローラン展開は留数定理や複素積分の計算へ直接つながる。
f(z)=z2ez
を z=0 のまわりでローラン展開し、z=0 の特異点を分類せよ。
ez=1+z+2!z2+3!z3+⋯
であるから、
z2ez=z21+z1+2!1+3!z+⋯
となる。
主要部は
z21+z1
であり有限個の項からなる。したがって、z=0 は2位の極である。