Skip to content

留数の積分計算への応用

  • 複素積分
  • コーシーの積分定理
  • ローラン級数
  • 孤立特異点
  • 留数

留数定理は、閉曲線積分を曲線内部の特異点における留数から計算する定理である。

正の向きの単純閉曲線 CC の内部に ff の孤立特異点

a1,a2,,ana_1,a_2,\ldots,a_n

があり、その他の点で ff が正則であるとする。このとき、

Cf(z)dz=2πik=1nRes(f,ak)\oint_C f(z)\,dz = 2\pi i \sum_{k=1}^{n} \operatorname{Res}(f,a_k)

が成り立つ。

この公式によって、複雑な積分計算を有限個の留数の計算へ帰着できる。

さらに、適切な複素関数と積分路を選ぶことで、実数上の積分を複素平面上の閉曲線積分として評価できる。

留数を利用した積分法はコーシーの複素積分論から発展した。

複素平面上では閉曲線内部の特異点が積分値を決定するため、実解析だけでは計算が困難な積分を複素解析によって簡潔に評価できる場合がある。

この方法は19世紀以降、解析学や数理物理学で広く利用されるようになった。

CC を原点中心、半径 22 の正の向きの円とする。

C1z(z1)dz\oint_C\frac{1}{z(z-1)}\,dz

を考える。

CC の内部には z=0,1z=0,1 が含まれる。

それぞれの留数は、

Res(1z(z1),0)=1\operatorname{Res}\left(\frac1{z(z-1)},0\right)=-1

および

Res(1z(z1),1)=1\operatorname{Res}\left(\frac1{z(z-1)},1\right)=1

である。

したがって留数の和は 00 なので、

C1z(z1)dz=0\oint_C\frac{1}{z(z-1)}\,dz=0

となる。

積分路の外側にある特異点の留数は、留数定理の和には含めない。

したがって、関数のすべての特異点の留数を無条件に足し合わせればよいわけではない。

留数定理は、次のような実積分の評価に利用できる。

dxx2+a2,\int_{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{x^2+a^2}, 02πR(cosθ,sinθ)dθ,\int_{0}^{2\pi}R(\cos\theta,\sin\theta)\,d\theta,

および三角関数や指数関数を含む広義積分などである。

また、フーリエ変換や逆ラプラス変換などでも複素積分と留数が利用される。

a>0a>0 とする。留数定理を用いて、

dxx2+a2\int_{-\infty}^{\infty} \frac{dx}{x^2+a^2}

を求めよ。

複素関数

f(z)=1z2+a2=1(zai)(z+ai)f(z)=\frac{1}{z^2+a^2} = \frac{1}{(z-ai)(z+ai)}

を考える。

上半平面には z=aiz=ai のみが存在する。

その留数は、

Res(f,ai)=limzaizai(zai)(z+ai)=12ai\operatorname{Res}(f,ai) = \lim_{z\to ai} \frac{z-ai}{(z-ai)(z+ai)} = \frac{1}{2ai}

である。

上半平面の半円を用いた積分路を考え、半円弧上の積分が半径を無限大にすると 00 に収束することを用いると、

dxx2+a2=2πi12ai=πa\int_{-\infty}^{\infty} \frac{dx}{x^2+a^2} = 2\pi i\frac{1}{2ai} = \frac{\pi}{a}

を得る。