単元とイデアルの関係

可換環論

環の単元とは、可逆元すなわち、逆元が存在するような元のことである。

定義1: 単元たんげん(unit)

以下の性質を満たす環 $R$ の元 $x,\, y$ に対して、$xy = 1_R$ となるとき、$x$ を単元たんげんと呼ぶ。
$$(\E x, y \in R) [xy = 1_R]$$

すべての可換環における共通の単元は乗法単位元のみである。

系1: 単元は群をなす

$R$の単元の全体 $R^\times$ は群をなす。

定義2: 単元群たんげんぐん(unit group)

系1の群 $R^\times$ を単元群たんげんぐんと呼ぶ。

命題1: 単元とイデアル

$(\A I \ideal R) (\A x \in R^\times) [x \in I \implies I = R]$

$$x, x^{- 1} \in R^\times$$
を単元とすると、
$$xx^{- 1} = 1_R \in I$$
が成り立ち、イデアルの定義より、
$$(\A a \in R) (\A x \in I) [ax \in I]$$
となるから、任意の $a \in R$ に対して、
$$a \cdot 1 = a \in I$$
が成り立ち、$I$ が任意の $R$ の元を含むということは、$R \subseteq I$ であり、逆の $I \subseteq R$ も成り立つから、
$$I = R$$
に等しい。$\Box$

系2: 素イデアルは単元を含まない

$R$ を環、$\p \primeideal R$ とするとき、以下が成り立つ。
$$(\A \p \in \spec R) (\A x \in R^\times) [x \notin \p]$$

命題1の待遇を取ると、
$$I \neq R \implies x \notin I$$
が成り立つ。$I$ を $\p$ に置き換えると、
$$\p \neq R \implies x \notin \p$$
となり、素イデアルの定義より、
$$\p \subsetneq R$$
が成り立つから、これは正しい。$\Box$
また、「極大イデアル$\implies$素イデアル」より、極大イデアルも単元を含まない。